元LIFE OF AGONYヴォーカリスト、キース・カピュートがソロ・アーティストへの道を歩み始めた。音的には、ライフ〜時代から大幅に進化しており、まるで速球派のピッチャーが円熟とともに変化球と微妙なコントロールを身につけるがごとく、または酒が樽の中で熟成されるがごとく、絶妙かつ複雑な味わいを見せている。所々にダイナソーJr.やソウル・アサイラム等のグランジの影や、ニール・ヤングやスティーヴン・スティルスの匂いも感じ取れるサウンドは、ハモンド・オルガンやトレモロ・ギターの使い方もなかなかツボをついていて心地よい。ちなみにギタリストとしてレニー・クラヴィッツのバンドからCraig Ross(クレイグ・ロス)も参加している。ほとんどがキース自身の複雑な生い立ちから来ているという暗く内省的な歌詞と、豪快かつ繊細なサウンドの絶妙のバランス。そして何といっても様々に表情を変えるヴォーカル。一度聴いてピンとこなくても、何度か聴いている内にじわじわと浸透してくるような、そんな小細工抜きの好アルバムだ。